今日は忘れもしない日である。
2月11日は祭日で会社は休みなのだが、今年は土曜日と被ってしまい週末の休みやら祭日を楽しみにしている社畜の人にとっては何か損した気分になるようなイメージだが、土曜日が休みじゃない会社もまだ多く存在するかもしれないから、そういう人には祭日気分になれるのかもしれない。
去年は2月11日が金曜日で、週末の休みを楽しみにしている人にはそりゃあラッキーな話で3連休だから木曜日の夜から旅行に行くという人も多かったのではないだろうか?
そんなに3連休だ!ウェェエェエーーーイ!!!とか休みを待ち遠しくしている人は、そういないって?
そうかもしれないが、会社のグズのおっさんは週末の休みが生き甲斐だという人もいたくらいだったのだが、1年前は会社が土曜日出社だったから、金曜日休みでも土曜日は出社しなければいけないというグズのおっさんにとっては地獄のような祭日だったのかもしれない。
1年前の今日にグズのおっさんが死んだ。
基礎疾患があり、常に死にそうな(ふり?)感じで、ゼーハーゼーハー荒い呼吸をしていたのだが、コンビニにアメリカンドッグを買いに行く時は非常に素早く動けたりしていて、よくわからない人だったが、13年くらいはグズのおっさんと一緒に働いただろうか。あ、そうそう、死因は色々な合併症と思われるのだが、基礎疾患があるにも関わらず、外食ばかりしていて「トンカツ!ウェェエェエーーーイ!!」とか言いながら、色々な店を出入りしている時にコロナウィルスに感染してしまったらしく、息をひきとったそうだ。
糖尿病がありながら、天下一品のラーメンを食べて唐揚げを注文して、1日6食の間食をして、常にアメリカンドッグを隠し持ち、からあげ君、牛串、とんかつ定食、マックのハンバーガー、とにかく油っこいものが好きで、常に揚げ物を食べていた印象。医者から、かなりの食事指導は受けていたみたいなのだが、グズのおっさんの意思の弱さは天下一品!「天一のスープは野菜でできているから飲んでも大丈夫なんだよ!」というグズ特有の言い訳をしてスープを飲み干し、そして追加注文した唐揚げも、コレステロールゼロの油で揚げているから(本当か?)大丈夫なんだよ!とかグズな事を言いながらバリバリ食い、その2時間後にはコンビニに立ち寄りからあげ君を買うという暴挙をこなしていたな。
移動は常に車で、「運転するとさー、眠たくなってフラフラ運転になるから運転してよー」とかグズな事を言い出して、仕方がないから運転を変わってやると助手席で豪快にイビキをかいて寝はじめ、起きたと思ったら隠し持っていたアメリカンドッグを頬張り始め、途中のパーキングに立ち寄りスタバでワッフルとクッソ甘い飲み物を買っていた。言う事もグズで、土曜日に会社を休んで家で寝ていたいから金曜日の朝から、明日休む言い訳を考えていると本人が言っていたくらいグズ。
営業の人だったのだが、クッソ重い大きな鞄を無駄に持ち歩いていて、ノートパソコンとグシャグヤになった大量の書類を突っ込み、その中には見積り書やら契約書なんかも入っているらしいのだが、いつから入れてあるモノかもわからないし、余裕で折り目がついていたりするから、それを客に提出するんか?と疑うレベル。スーツもキングサイズじゃないと入らないらしく、サカゼンでないと入手できないとか言って金も持っていないから一張羅で、食べこぼしやらクリーニングに出したことがなく毎日着込んでいるから、テッカテカになってガッサガサのスーツをダラしなく着ていて、ズボンに至っては破けていても気にせず履いていたな。身だしなみは最悪でビジネスマンとしての自覚はゼロだった。腕時計もしてないし(金属アレルギーとか嘘をついていたな)、筆記用具も持たない。ボールペンは無くすから持ってないとか言っていたが、本当にグズ過ぎて私があきれてしまったくらい。年齢は私の10歳年上で、私もダラしないが、それ以上にダラしない。あまりのダラしなさに、これはネタになるなと思い、ラインスタンプを3種類とグズから学ぶ自己啓発本を3冊と短編小説に3作品取り入れたくらい。
仕事は全くできなくて、朝すぐに会社を出てパーキングでスマホで動画を見ながら居眠りと間食しまくり。そんな事だから、営業成績も半年以上、契約ゼロで回りの営業からも相手にされず、営業部長も怒る気がしなくなり放置。最低賃金はもらえていたみたいだが、間食で金がかかるらしく常に貧乏だったな。薬代や治療費は国の免除になっていて、身障扱いになっていて「俺さー、車の車両税払わなくていいんだぜー!」とかドヤ顔で言っていたが、いやいや、車両税キチンと払うから健康は維持したいよ!と思ってしまった。ある意味、プラス思考という点ではいいかもしれないが、根本が間違っている事に気付かないおっさんだったな。
グスのおっさんの事を書くと本5冊くらい書けてしまうから、これくらいにしておいて、今日はグズのオッサンと比較的仲が良かった社員で一周忌をしてやることにした。
なので会社は休みだが、会社でグズのおっさんを弔う会という事で、大量の揚げ物を購入して飲み会を開くことになったのだが、もうね、これは地獄かよ!と思うくらい、今日は地獄を味わった。
5人で集まったのだが(そのうち肥満の人は3人。一応、私は含めていない)、アメリカンドッグ10本に大量の鶏肉を揚げてナゲットを大量に作り、大量の唐揚げを作り、エビフライ、イカフライ、アジフライ、白身魚の揚げ物、大量のじゃがいもを使い多量のフライドポテトを揚げ、餃子60個を焼き、鍋うどん、寿司、ローストビーフを絶え間なく食べ続け、ビールと日本酒を飲みながらグズのおっさんについて語ったりした。いつもならお腹一杯とか言いながらも、食べられそうな量に思えるのだが、やはり揚げ物というのはキビしいものがあり、口のなかが油っこくなるし、胃ももたれそうだし塩をかけたりするものだがら塩分も高めで、グズのおっさんは毎日、こんなのを食べ続けていたと思うと、そりゃあ病気になるわい!と体感することができた。
一ヶ月も続けたら間違いなく入院コースになるかと思われ、グズのおっさんは定期的に入退院を繰り返していて、長いときは半年間くらい入院していた時があったくらい。
何にでもケチをつけてクレーマーだったから、ファミマの外人の女性店員の接客に文句を言ったら、店員とグズのおっさんで大揉めになり、ファミマ出禁になったという伝説をもっているくらい。「日本はな!お客様は神様なんだよ!ここは日本なんだぞ!からあげ君が袋の中で飛び出しちゃうじゃないか!もっと丁寧にやれよ、使えねぇな!」くらい言ったみたいで、そりゃあ出禁になるよと思った。
逆に会社のお客さんからの苦情に対しては「客だからって何でも言うこと聞いてられねぇよ!ふざけんな!」くらいの事をいっていて、お客様は神様じゃないのか?と疑問に思ったことは多々あるが、グズのおっさんは矛盾しているのが普通の状態で、何なら自分の発言(暴言)がブーメランで返ってくるという事が、今までに何度もあったくらい。
さすがの私も揚げ物の食べすぎと酒の飲み過ぎで、途中で激しい睡魔に襲われ小一時間くらい気を失ってしまったみたい。他の人も数人、意識を失っていて(寝てしまった)意識を取り戻した瞬間から、目の前の皿に揚げ物を追加されてしまうとう地獄絵図。もうね、拷問かと思ったくらい。
でも、グズのおっさんは毎日、これくらいの揚げ物を食べていたのだから、むしろたいしたものだと思った。
1年前にグズのおっさんが死に、翌日の土曜日に「グズのおっさんがコロナに感染して合併症で死んだよ」という話を聞き、社員全員がコロナの検査に行かなければならなくなり、結果が出るまで自宅に帰ろうかどうかに悩み、最後の最後まで迷惑をかけれらたが、それはそれで印象深いから恐らく私は会社のグズのおっさんの事を、色々な意味で忘れることはないだろう。
生前から安らかに寝すぎていたようだが、安らかに眠ってくれ。